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精密農業向けテレマティクスのチェックリスト

8分

28/08/2026

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Marharyta Smolenska

マーケティングオペレーションコーディネーター

精密農業は、単にトラクターが圃場のどこにいるかを把握する段階をはるかに超えて進化しています。現在、農業従事者は管理プラットフォームに対し、作業中に何が起きたのか、農業資材が適切に投入されたのか、そして機械が正常に稼働しているのかまで把握できることを求めています。


こうしたプラットフォームを構築するテレマティクスインテグレーターにとって、この変化は重要な問いを投げかけます。現在のソリューションは、精密農業に求められる詳細なデータを本当に提供できているのでしょうか。それとも、基本的な位置追跡にとどまっているのでしょうか。


この問いへの答えを見つけるため、テルトニカはウェビナーを開催し、トラッカー「FMC650」を活用した最新のISOBUSデータ読み取りソリューションを紹介しました。



この機能により、企業はトラクターの位置をセンチメートル単位の精度で追跡し、圃場のどこに農業資材が投入されたかを確認するとともに、機械の診断データへアクセスできます。ウェビナーで得られた結果や参加者から寄せられた質問を踏まえ、完全な農業向けテレマティクスソリューションに必要となる主要機能を、実践的なチェックリストとして以下にまとめました。


収穫量を向上させるためにIoTに求められること


圃場マッピングと作物モニタリング


収量モニタリングは精密農業市場で最大の用途分野であり、2025年には売上高の43.1%を占めています。これは当然ともいえます。収量データは農業収益に直接関係するため、農業従事者やプラットフォームが最初に追跡対象とすることが多いからです。


農業管理プラットフォームでは一般的に、圃場のパフォーマンスを評価するために以下の方法のうち1つ以上を使用します。それぞれ、精度、コスト、作業負荷の面で異なる特徴があります。


  • 衛星画像 – 圃場全体の長期的な傾向を把握するのに有効ですが、解像度や更新頻度の制約により、細部まで確認できる範囲には限界があります。

  • ドローン映像 – 衛星画像よりも近距離かつ詳細に圃場を確認でき、可変灌漑の計画などにも活用できます。ただし、機器への投資、飛行時間、データ処理など、より多くのリソースが必要です。

  • 圃場内センサー – 土壌水分、害虫の活動、水使用量などを継続的かつ自動的に監視でき、高精度なデータを取得できます。一方で、ハードウェアの設置および保守が必要です。

  • 土壌サンプリング – 実際に土壌サンプルを採取して分析し、栄養成分やその他の土壌特性を確認する手作業の方法です。施肥などの意思決定に役立ちます。


農業管理プラットフォームを実用的なものにするには、少なくともこれらの方法の1つに対応し、圃場パフォーマンスの履歴を記録できることが重要です。また、作物の状態に応じて水、肥料、農薬などをどこに投入すべきかを示すヒートマップを生成できることも求められます。


ただし、こうしたデータの価値を最大限に引き出すには、機械が圃場内をどのように移動し、そこでどのような作業を行ったのかも確認できなければなりません。この情報がなければ、農業従事者は高精度なヒートマップを、実際に機械がどのように作業したか確認できない状態で比較することになります。これでは、すでに導入しているモニタリングシステムの価値を十分に活用できません。


では、適切な圃場作業を確認するためには、どのような機械データが役立つのでしょうか。


低速走行時でも高精度な位置測位


農業資材が適切な場所に適切な量で投入されたかを判断するには、機械の移動軌跡を安定して高精度に取得することが重要です。


トラクターは低速で走行し、急旋回を行い、圃場内で同じような経路を繰り返し移動するため、高精度な追跡が難しい車両として知られています。このような条件では、GNSSの位置ずれや信号反射によって、特に極低速走行時に軌跡上で目立つ飛びやずれが発生する場合があります。


REAL-LIFE RESULTS

FMB tracker
FMB tracker
FMC650 with slow moving mode
FMC650 with slow moving mode

テルトニカの「FMC650」および「FMM650」は、高度なGNSS技術と追跡ロジックを組み合わせることで、こうした課題に対応します。


  • デュアルバンドGNSS(L1+L5)により、測位精度を高め、信号反射によるマルチパスの影響を低減します。

  • 外付けGNSSアンテナにより、衛星の見通しが良く、信号干渉の少ない場所へ設置できます。

  • 専用のSlow-Moving Modeは10 km/h未満で自動的に有効になり、低速走行時のGNSSノイズを低減し、圃場作業中により安定した信頼性の高い移動軌跡を維持します。


ただし、機械を追跡する方法はGNSSデータだけではありません。


RTKデータによるセンチメートル単位の高精度測位

画像



ドライバーのナビゲーション精度を高めるため、リアルタイムキネマティック(RTK)測位システムへ投資する農業従事者が増えています。一般的には、トラクターメーカーから直接、または後付けの自動操舵ソリューションを通じて、RTK基準局、受信機、タスク管理プラットフォームを導入します。


その理由は明確です。一般的なGNSSの1~3メートル程度の精度では、走行経路の重複や隙間を防ぐには十分でない場合があります。わずかなずれでも、種子や肥料の無駄につながります。RTK技術はセンチメートル単位の測位精度を実現することで、この課題を解決します。


しかし、RTKデータはガイダンスシステムの外部から常に利用できるとは限りません。RTK補正情報へアクセスするには通常、RTKプロバイダーから専用ライセンスまたはAPIを取得する必要があります。そのため、データがトラクターのナビゲーション環境内に閉じ込められ、オペレーターだけがリアルタイムで確認できるケースがあります。


「FMC650」は、業界で一般的にISOBUSネットワークと呼ばれるトラクターの通信ネットワークからRTKデータを直接読み取ることで、この課題を解決します。


どのように機能するのか?


トラッキングデバイスは9ピン診断ソケットを介してISOBUSネットワークに接続し、作業機、RTK受信機、各種機械部品など、トラクターの車載システム間で常時やり取りされている情報を読み取ります。


REAL-LIFE RESULTS

FMB tracker without RTK
FMB tracker without RTK
FMC650 with RTK data
FMC650 with RTK data

ISOBUS経由でRTK座標を読み取った「FMC650」による実際の追跡精度の例


この方法により、「FMC650」は、RTKシステムがOEMによって標準搭載されたものであっても、後付けソリューションとして設置されたものであっても、そこから座標および対地速度を取得して送信できます。


その効果は明確です。テレマティクスプラットフォーム上で、ドライバーが車内のナビゲーションに使用しているものと同等の、センチメートル単位の高精度な走行軌跡を表示できます。これは、以下で説明する各種パラメータを利用して、実際に行われた圃場作業を確認するうえで極めて重要です。


トラクターシステムの状態監視


位置情報だけでは、トラクターがオーバーヒートしているか、燃料が失われているか、あるいは不適切な深さで耕起しているかを判断できません。そのため、農業向けトラッキングソリューションでは、トラクターのシステムデータや作業機のデータも監視する必要があります。


トラクターのエンジンは、特にヒッチ、油圧システム、PTO(パワーテイクオフ)の3つのシステムを通じて作業機へ動力を伝達します。

コンポーネント

取得できるデータ

重要性

ヒッチ

作業中かどうか、位置(上昇、下降、中間)、けん引力、公称ロワーリンク力

実際に作業が開始されたタイミングを確認して自動記録に利用できます。また、耕起が浅すぎる、または深すぎる状態を検知し、土壌密度の把握にも役立ちます。

油圧システム

補助バルブの伸長・収縮時における圧力および流量

ポンプの摩耗、詰まり、漏れ、その他の油圧流量に関連する不具合の兆候を把握するのに役立ちます。

PTO

回転速度および出力

ベーラー、スプレーヤー、モアなどの駆動機器を指定された動作範囲内で稼働させることができます。PTOの回転が速すぎたり遅すぎたりすると、負荷時の滑りや長期的な損傷につながる可能性があります。

 

散布・投入作業中の作業機パフォーマンス



散布・投入データは、精密農業において最も価値の高い情報の1つです。1ヘクタールあたりに実際にどれだけの資材が投入されたかを正確に把握することで、圃場作業の確認、投入コストの追跡、圃場やドライバーごとのパフォーマンス評価が可能になります。


監視すべき主な作業機パラメータは以下のとおりです。

パラメータ

オペレーターにとっての価値

計画投入率と実際の投入率

目標値と実績値をリアルタイムで比較し、キャリブレーションの問題、詰まり、圃場条件の変化などを特定できます。

計画投入量と実際の投入量

作業中に実際に使用された資材量を正確に確認できます。

作業幅+RTK位置情報

処理、播種、施肥、収穫を行った面積を高精度に算出できます。

作業状態

作業機が実際に稼働しているタイミングを確認し、タスクの完了状況を自動的に測定できます。


これらのデータにより、圃場作業が計画どおりに実施されたかを確認できるほか、コスト分析、レポート作成、精密農業に関する意思決定の信頼性の高い基盤を構築できます。


トラクター以外の車両やデポ全体への拡張


トラクターが単独で作業するケースはほとんどありません。そのため、収穫物の積み替え時に、トラックが適切な時間・場所に到着していたかをプラットフォーム上で確認できることも重要です。


そのためには、トラックに「FMC650」を設置し、トレーラー重量と軸荷重をリアルタイムで監視できます。これにより、新しいデバイスをプラットフォームへ統合するために追加の開発時間を割く必要がなくなり、同時に2つの課題を解決できます。まず、トラッカーを使って収集された穀物の量を把握し、その後、トラックがサイロへ移動する間に穀物が盗難されていないことも確認できます。


機械データの読み取りに加えて、テレマティクスサービスプロバイダーは、燃料盗難や無許可運転などの問題を防止しながら、エンジンを搭載していない資産の位置や状態も把握できるシステムを構築できます。そのため、農業向けトラッカーには、他のIoTアクセサリを接続するための各種入力、出力、シリアル通信ポートが必要です。


デポ業務の管理、作業機の位置監視、さまざまな種類の機械への拡張について、農業オペレーターの典型的な1日の流れに沿った実装例を確認するには、最新のユースケースをご覧ください。


Q&A


各ウェビナーの最後には、ライブQ&Aセッションを実施しています。以下では、参加者から寄せられた質問と、テルトニカの技術専門家による回答をご紹介します。


ISOBUSデータを読み取ることで、トラクターの保証に影響はありますか?いいえ。標準の9ピンケーブルを使用してトラクター既存の診断ソケットへ接続するため、配線を切断したり車両を改造したりする必要はなく、保証を維持できます。9ピンケーブルは、2012年以降に製造された多くのトラクターモデルで一般的に使用されています。

ただし、診断ソケットが利用できない場合は、「ECAN02」アダプターの使用を推奨します。これにより、CANバスデータへ非接触でアクセスできます。


トラクターのISOBUSソケット数が限られている場合、テルトニカからケーブルスプリッターを提供できますか?現在、テルトニカでは専用のISOBUS延長ケーブルまたはスプリッターを提供していません。コネクターの拡張が必要な場合は、トラクターのネットワークと互換性があり、OEMまたは第三者によって承認された適切なISOBUSスプリッター/延長ケーブルの使用を推奨します。


トラクターにRTKアンテナが装備されていない場合はどうなりますか?大型機械向けに設計された「FMC650」は、外付けアンテナの適切な設置、より広い衛星周波数帯への対応、低速走行向け追跡モードを活用することで、RTKがなくても測位精度を高めることができます。そのため、RTKは大幅な精度向上につながる機能ではありますが、必須要件ではありません。


テルトニカではRTK基準局、アンテナ、受信機を販売していますか?いいえ、テルトニカではRTK技術そのものは販売していません。「FMC650」は既存のRTKソリューションと連携するよう設計されており、設置構成に応じてCANまたはRS232経由でRTK情報を受信できます。


対応車両または対応パラメータの一覧はありますか?「FMC650」は、J1939を使用するすべてのトラクターおよび大型機械からISOBUSデータを読み取ることができます。一部のパラメータが標準ファームウェアで対応していない場合、インテグレーターは「Manual CAN」リクエスト機能を使用して、追加で70種類のパラメータを読み取ることができます。そのためには、対象車両のCANプロトコルも必要です。


プラットフォームに求められること


精密農業ソリューションの構築で最も重要なのは、農業従事者が計画した内容と、実際に圃場で行われた作業とのギャップを埋めることです。


測位精度、トラクターの診断データ、作業機データは、それぞれ異なる側面からこの課題への答えを提供します。そして、これら3つを単一のデバイスから取得できるようにすることで、フリート管理者は実際の投入コストを把握し、規制遵守を証明するとともに、高額な修理につながる前にメンテナンス上の問題を発見できます。


現在使用しているシステム構成をこのチェックリストと照らし合わせて確認することが、改善への有効な第一歩となります。

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