EVテレマティクス:追跡すべき7つの主要パフォーマンス指標
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25/08/2026

Kseniya Dolia
SCOPEオペレーショナルマーケティンググループ責任者
世界の電気自動車(EV)の普及率は引き続き拡大しており、中国と欧州がフリートの電動化を牽引しています。日本でも前向きな動きが見られ、2025年のEV販売台数は10万台に達しました。EVへの関心が高まるなか、テレマティクスソリューションプロバイダーにも、バッテリー駆動フリートのニーズを考慮した対応が求められています。現代の車両では、日々のフリート運用に役立つ多くのパフォーマンス指標が収集されています。では、こうしたデータにどのようにアクセスし、どのパラメーターを重視すべきなのでしょうか。

バッテリーに注目
内燃機関車の所有者にとって、定期的なメンテナンスと給油は主要な支出項目の一つです。2026年には燃料価格が上昇していることから、燃料消費量のモニタリングは、この種のフリート向けに導入される多くのテレマティクスソリューションで重要な課題となっています。一方、EV所有者にとって最大の懸念事項は、バッテリー劣化のリスクと、高額な交換費用です。
車両モデルや国によって異なりますが、新しいバッテリーの費用は7,000~15,000米ドルに達する場合があります。そのため、予期せぬバッテリーの問題は、EVフリートを運用する企業にとって大きなコストにつながる可能性があります。だからこそ、電気自動車向けのテレマティクスソリューションでは、バッテリーそのものに加え、走行中の性能や充電プロセスを重点的に監視する必要があります。
EVフリート管理者が監視すべき主な指標は、以下のとおりです。
健全性(SOH)
充電状態(SOC)
温度
バッテリーの充電速度
充電の時間と場所
ドライバーの運転パフォーマンス

健全性(SOH)は、最初に確認すべき基本的な指標です。これは、バッテリーの初期容量と現在の容量との差を示します。例えば、SOHが100%であれば、メーカーの設計どおり、バッテリーを最大容量まで充電できます。一方、SOHが70%の場合、満充電にしても初期容量の30%が失われていることを意味します。これは車両の航続距離に影響し、バッテリーの劣化度合いを示す指標となります。
ただし、SOHだけでは、劣化を引き起こしている原因までは把握できません。フリート管理者が望ましくない傾向を特定し、さらなる劣化を防ぐには、より多くの状況情報が必要です。充電状態(SOC)の変化を監視することで、各走行時の車両ダウンタイムを最小限に抑えながら、バッテリー寿命の延長にもつながります。日常的に満充電や完全放電を繰り返すことは避け、充電レベルを20~80%の範囲に維持することが推奨されています。
次に、バッテリー性能は温度の影響を受けます。極端な低温や高温はバッテリーの劣化を加速させ、車両の航続距離を低下させる可能性があります。特に過熱は危険であり、まれなケースでは危険な熱事象につながり、車両、ドライバー、周囲の人々にリスクを及ぼす可能性があります。EVの性能を維持するうえで、最適な温度範囲は10~30°Cです。
温度に加えて、バッテリーの充電速度も重要な監視項目です。事業を展開する地域によって異なりますが、一般利用可能な充電インフラのうち、低速充電器は依然として60~80%を占めています。多くのフリート所有者にとって、EVの充電には数時間を要する場合があり、実際の充電時間は車両モデルや充電時の温度によって異なります。
低速充電は時間効率の面で課題があるため、欧州、米国、中国では直流(DC)急速充電器の普及が進ん でおり、およそ20分で車両を満充電にできる場合があります。一方で、その利便性にもかかわらず、DC急速充電器を頻繁に使用するとバッテリーに悪影響を与え、劣化を加速させます。EVフリートを運用する際には、車両の充電速度を監視し、可能な限り低速充電を計画することが重要です。
充電の時間と場所も、コストに影響するため考慮が必要です。一般的にDC急速充電は最も高額な選択肢ですが、それ以外にも注意すべき点があります。欧州では動的な電力料金制度を導入する国が増えており、ピーク時間帯に充電すると、夜間と比べて最大30%高くなる場合があります。
最後に、ドライバーの運転パフォーマンスは、内燃機関車と同様に電気自動車でも重要です。急ブレーキや急加速、日常的な速度超過、アイドリングは車両に不必要な負荷をかけ、バッテリーの消耗を早めます。ドライバースコアを作成し、非効率な運転行動を特定したうえで、各ドライバーに対して改善を促すことで、車両寿命の延長につながります。
OBDデバイスでEV充電をモニタリングする方法

現代の車両は、まさに「車輪の付いたコンピューター」と呼べる存在です。実際、1台の車両には70~100個のマイクロコントローラーが搭載され、エンジン、ブレーキ、エアバッグをはじめとするさまざまな内部システムを制御しています。これらのマイクロコントローラー間でデータを伝送するCANバスネットワークにアクセスすることで、フリート管理者は車両性能をより包括的に把握できます。
このデータにアクセスする最も簡単な方法は、車両の診断ポートに接続するOBDデバイスを使用することです。専門的な取り付け作業は不要で、車両保証にも影響を与えません。
テルトニカの「OBD DATA」カテゴリーのデバイスは、小型電気自動車のモニタリング向けに設計されています。170種類以上のEVモデルに対応しており、上記で紹介した主要なバッテリーパフォーマンスパラメーターをすべて読み取ることができます。
また、当社のトラッカーにはエコドライブシナリオが搭載されており、コーナリング、急ブレーキ、急加速といったイベントを検知することで、ドライバーの運転パフォーマンスを評価できます。さらに、最新のファームウェア更新により、車両バッテリーが特に影響を受けやすい充電プロセスに重点を置いたモニタリングが可能になりました。どのように機能するのでしょうか。
テルトニカのデバイスは、車両が充電中かどうかに応じて、異なるパラメーターセットを収集するよう設定できます。充電が開始されるとデータ収集内容が切り替わり、バッテリー性能に関する追加パラメーターを取得します。健全性(SOH)、充電状態(SOC)、リアルタイム位置情報に加えて、当社のトラッカーでは以下のデータを読み取ることができます。
全体温度および各セルの温度範囲。 電気自動車のバッテリーは、直列に接続された複数のセルで構成されています。時間の経過とともに、これらのセル間で電圧や充電状態に差が生じることがあります。その結果、セルごとに充電速度が異なるようになり、一部のセルが過熱する一方で、他のセルは許容範囲内に留まる場合があります。そのため、平均バッテリー温度を測定するだけでなく、各セルの温度を個別に確認することも重要です。
バッテリー電圧および電流。 これらのパラメーターの急激な 上昇は、バッテリー異常の兆候となる可能性があり、特に車両の充電中に危険性が高まる熱事象のリスクを早期に把握する手がかりとなります。過電圧を検知することで、フリート運用者は事前に車両メンテナンスを計画し、高額なバッテリー交換のリスクを低減できます。
バッテリーの最大エネルギー量および現在の測定エネルギー量。 これにより、車両が満充電になるまでに必要なエネルギー量を算出できます。このデータを活用することで、フリート所有者はEVの充電完了までに必要な時間を推定し、それに応じて充電スケジュールを効率的に設定できます。その結果、ダウンタイムを削減し、フリート稼働率を最適化できます。
低速充電および急速充電の回数。 これらのパラメーターを利用すると、急速充電がどの程度の頻度で使用されているかを把握でき、バッテリーに過度な負荷がかかっていないかを確認できます。
このEVモニタリング方法では、フリート運用者が充電プロセスに特化して監視できるため、予期せぬバッテリー問題や車両ダウンタイムのリスク低減につながります。この機能の利用可否は車両モデルによって異なる場合があります。EV充電モニタリングの設定方法や制限事項について詳しくは、テルトニカ Wikiのドキュメントをご覧ください。
EV管理についてさらに詳しく知りたい方は、ユースケース「OBDデータ読み取りデバイスによる高度なEVバッテリーモニタリング」をご覧ください。
