デッドレコニング技術で盗難車両の発見・回収を強化
はじめに
世界的に車両需要が高まる一方で、車両盗難も増加しています。企業が高度なセキュリティソリューションを導入しているにもかかわらず、盗難の手口も同様に急速に進化しています。窃盗犯はGPSデバイスが提供する機能を回避するために手口を変化させることが多く、基本的なテレマティクスシステムだけでは、もはや車両盗難を十分に防止できません。そのため、テレマティクスサービスプロバイダーには、進化する盗難手口に先んじるため、新たな技術や高度な機能、革新的な戦略を継続的に導入することが求められます。
課題
GPS信号のジャミングは、車両盗難で最も一般的に用いられる手口の一つです。このような機器の使用は違法であるものの、購入や所有まで常に禁止されているわけではありません。規制が厳格でない国では、販売業者が「ジャマー」という名称を避け、「GPS信号シールド」として販売することが多く、その販売を規制または禁止することが困難になっています。一方、メキシコのようにジャマーの使用規制を進め、違反者に12年から15年の禁錮刑を科すことが可能な国もあります。こうした対策にもかかわらず、2024年にメキシコで発生した車両盗難の64%では、信号ジャミング機器が使用されていました。
車両盗難の被害は、ほかの大陸でも発生しています。オーストラリアで最も利用され、信頼されている金融比較サイトに よると、同国では約11分に1台の割合で車両が盗まれています。なかでも、クイーンズランド州とニューサウスウェールズ州では、車両盗難件数が最も多くなっています。偶然かどうかは別として、この2州はトンネルの数も最も多く、車両盗難を容易にする要因となる可能性があります。車両が盗まれ、GPSトラッカーがまだ無効化されていない場合でも、車両がトンネルに入ると追跡情報が途切れることが少なくありません。トンネルが直線状であれば大きな問題にはなりませんが、オーストラリアのような国では曲がりくねったトンネルが多く、車両がどの方向へ進んでいるのかを特定することが困難になります。
盗難車両が追跡不能になる場所は、トンネルだけではありません。英国では1日あたり354台の車両が盗難に遭い、回収率も30%以下にとどまっているため、盗難車両の発見・回収が大きな課題となっています。多くのサービスプロバイダーがすでにフリートへテレマティクスソリューションを導入していますが、窃盗犯が車両を地下駐車場に隠した場合、発見が困難になります。法律上、個々の地下駐車場をすべて捜索することは認められていない場合が多く、合法的に開けて確認できる場所は限られています。そのため、盗難車両のおおよその位置だけでも把握できれば、捜索と回収を大きく支援できます。
ソリューション

テルトニカのすべてのデバイスには、盗難発生時の対応に役立つジャミング検知、デバイスの取り外し検知、けん引検知などの機能が搭載されていますが、当社はさらに一歩進んだ対策を提供しています。GPSの測位が困難な場所に関する課題を解決するため、テルトニカはデッドレコニング機能を搭載したFTプラットフォーム対応デバイスを提 供しています。幅広い製品ラインアップから、さまざまなビジネス分野に合わせたバージョンを選択できます。今回は、基本的な用途に適した人気モデルの一つとして、デッドレコニング機能を搭載した車載GPSトラッカー「FTC927」をご紹介します。
どのような仕組みで動作するのか?デッドレコニング機能を搭載したテルトニカのデバイスは、以下の2つの情報源から位置データを取得します。
接続中の衛星:FTプラットフォーム対応デバイスは、最大41基の衛星に接続できます。
内蔵の加速度センサーとジャイロスコープ:動きの検知と向きの判定に使用されます。
テルトニカの「FTC927」は、2つの情報源から得られるデータを組み合わせることで、高精度な測位を実現します。通常時、トラッカーは衛星からの信号を継続的に受信し、車両の位置を特定します。一方、トンネル内、地下駐車場、都市部の高層建築物に囲まれた場所などで、GPS信号が一時的にジャミングされたり途絶えたりした場合は、「FTC927」のデッドレコニング機能が作動します。この機能は、加速度センサーとジャイロスコープを使用して車両の位置を推定します。
加速度センサーは、 車両がどの程度の速さで加速または減速しているかを測定します。一方、ジャイロスコープは車両の向きや動きを追跡し、旋回や傾きを検知します。この2つを組み合わせることで、衛星測位とセンサーによる位置推定を切り替えながら、追跡情報の空白を効果的に補います。まず衛星信号に基づいて位置を追跡し、その後、衛星信号が受信できない間は加速度センサーとジャイロスコープを使用して位置を推定します。衛星信号が再び利用可能になると位置情報を再補正し、この処理を繰り返します。このように衛星測位とセンサーによる推定を相互に切り替えることで、測位が難しい環境でも高精度な追跡を維持できます。
「FTC927」が車両の位置を推定している間も、データは継続的にサーバーへ送信されます。これにより、サービスプロバイダーは、車両がトンネル内や地下駐車場にある場合でも、盗難車両の回収に向けて迅速に対応できます。さらに、「FTC927」の柔軟なピン配列を活用することで、隠しブザーの作動や通常とは異なる車両ライトの点灯パターンの有効化といった動作を開始でき、盗難行為の進行を遅らせられる可能性があります。
トポロジー

ベネフィット
確実な盗難車両回収:GNSSジャマーが使用された場合でも、デッドレコニング機能により、加速度センサーとジャイロスコープのデータに基づいておおよその走行ルートを再構築できます。これにより、車両の進行方向や想定される捜索範囲を把握できます。
正確な最終位置の特定:盗難車両がGNSS信号の届かない閉鎖されたガレージや倉庫内へ移動した場合でも、デッドレコニン グ(DR)機能により、進入地点まで追跡データを補完できます。これにより、企業は盗難車両が隠されている可能性が最も高い場所を把握するための有益な情報を得られます。
回収率の向上:途切れることのない位置データにより、盗難車両をより迅速に発見・回収できる可能性が高まり、企業や個人所有者の経済的・業務上の損失を最小限に抑えられます。
柔軟なピン配列:アラームや隠しブザーの作動、通常とは異なるライト点灯パターンの有効化など、追加のシナリオに対応できます。これにより、窃盗犯をけん制し、盗難行為の進行を遅らせることが可能です。
基本的な盗難防止機能:FTプラットフォーム対応デバイスは、高度なデッドレコニング機能を備えているだけでなく、ジャミング検知、デバイスの取り外し検知、けん引検知など、盗難防止に不可欠な機能も搭載しています。これらの機能 により、車両所有者は潜在的な脅威を即座に把握し、盗難を防ぐために適切なタイミングで対応できます。
なぜテルトニカなのか?
テルトニカは、進化を続けるテレマティクス業界の課題に対し、常に一歩先を行く取り組みを進めています。車両盗難の手口が絶えず変化する中、当社は継続的に技術革新を重ね、パートナーが新たな脅威に備えられるソリューションを提供しています。
FTプラットフォームは、将来を見据えたソリューションを提供するという当社の姿勢を示すものです。デッドレコニングのような高度な機能と、長年にわたり実績を重ねてきた基本機能を組み合わせることで、テルトニカは、企業がフリートを保護するために、堅牢で長期的に活用でき、変化にも柔軟に対応可能な技術を導入できるよう支援します。

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